現行法は、原爆被害者を償う法律、国民の命を守る法律にはなっていません。
現行法の問題の第1は、原爆被害を放射線被害、それも初期放射線の被害に限定していることです。残留放射線、内部被曝を無視していることです。
このような法律では、原爆被爆者だけでなく、原発事故等による被曝者も救われません。
その2は、被害に対する償いではなく、高齢化した被爆者に対する援護の法律になっていることです。
その3は、核兵器の廃絶を「究極的廃絶」と表現していて、遠い未来の課題としていることです。世界の世論は「核なき世界」に向けて大きく前進しています。唯一の被爆国としてすみやかな核兵器廃絶を謳うべきです。
その4は、戦争被害受忍の立場にたった法律ということです。日本国民は戦争による命、体、財産の被害は我慢しなければならないとしていることです。
私たち被爆者が求めている原爆被害に対する国の償いとは、原爆被害を起こした責任を明らかにして謝罪すること、原爆によって破壊された、いのち、からだ、こころ、くらしを償うこと、ふたたび被爆者をつくらない証しを明らかにすることです。